巴のため、祝言を延ばして上洛した男。
「人斬りの俺に、帰る場所なんて」
「……人の一生は、まるで川に似ています」
それはまるで男の首が落ちる音に聞こえ、巴は思わず声を出していた。
貴女の顔を見つめるのは、いつも夜だった。
涙が出るほど愛しい想いは、あなたではないの?
その花の名を彼は知らなかった。
(……巴。そこにいるか……)
君のいない秋が巡るたびに想う。
繋いだ指先が優しく熱を持つ。